廃棄物の処分場と聞いて一般的に思いつくのは安定型の最終処分場だと思います。プラスチックやがれきなど土に埋めても良いとされる廃棄物が最終的に行き着く処分場です。この安定型処分が今窮地に立たされています。それは、絶対数不足による埋立地の枯渇です。要は安定型処分場が一杯になって埋立残量がどんどんゼロに近づいています。しかしほとんどの方がそれを現実的には感じていないと思います。

近代社会において廃棄物排出量の抑制はかなり難しい問題です。廃棄物の発生を抑制しようとすると設計段階から遡って変更しなければなりません。そうなるとコストや作業の問題があり実現は難しくなります。したがって廃棄物の抑制よりは作業効率を選択するのが一般的です。

廃棄物は排出され続けます。例えば一つの工場から30年間排出され続ける事は当然のことです。しかし、処分場は30年も入れ続けることは困難です。容量がありますからこれも当然です。そうなると新しい処分場を造らなければいけません。これも当然です。ではあなたの家の横に処分場の計画が持ち上がったらどうでしょう。

通常は計画に反対します。自分が住んでいる地域に処分場の計画があれば反対以外の選択肢はないでしょう。内容はよく分からないが廃棄物の処理場なんて近所には来て欲しくありません。ですから日本全国で反対運動が起きています。それによって安定型処分場の新設はとても高いハードルになっています。細かい法律の話をすればどんなに近隣住民の方が反対をしても法律を満足させていれば処分場建設は不可能ではありません。しかし現実は近隣住民の方が反対している所に強引に建設することはありません。

ただ、反対しているほとんどの方の職場から出た産業廃棄物はどこかの安定型処分場で埋立られています。定年された方々が職場で排出してきた廃棄物は日本中のいたるところの処分場で適正に埋立られてきました。それが今反対運動によって埋立地の不足という問題になっています。

処分場を建設することが悪なのでは無く、適正に処分しないことが悪なのだとマインドを切り替えて廃棄物処理という事を考えなければいけないのではないでしょうか。

最近では、反対運動を起こした住民が裁判で負ける事例が増えてきています。それは感情だけで行動を起こしてしまい、本質から目を背けているからだと思います。

不適正処理をする業者は徹底的に糾弾されるべきですが、適正な処理をする業者とは一緒になって前に進んでいくことが大事だと思います。