愛知県で起きたチキンカツ横流し事件の続報です。

<ダイコー事件>廃棄食品、愛知県が撤去へ…悪臭懸念◇県費4000万円投じ

結局税金を使っての撤去となりました。果たしてこれは県民が望んでいた結果なのでしょうか。
確かにダイコーが行った食品横流しはあってはならない事です。絶対に許せません。ただ客観的に見てみるとどうでしょう。まず今回の事件被害者は誰なのでしょうか。CoCo壱番屋でしょうか。横流し品を買ったスーパーでしょうか。購入した消費者でしょうか。精神的には皆被害者かも知れませんが物理的には被害を被ってはいません。もちろん健康被害もでていません。中国のゴミ混入餃子とはまったくの別次元です。だからといって横流しは絶対肯定できません。

しかし、物理的被害者がいない事件になぜ4000万円もの税金が使われなくてはいけないのでしょうか。そんなお金があったらもっと高齢者や児童への様々な行政サービスが提供できます。今回の4000万円はただゴミを捨てるだけのお金です。

これには廃棄物処理法が関係してきます。この法では違反をした業者には厳しい罰則が適用されます。今回のケースでは許可の取消しとなっています。これは廃棄物処理業者にとって致命的な罰則です。即会社の破綻に繋がります。即破綻ですから当然会社に残された廃棄物を処理する能力も財産もありません。したがって取消しになったダイコーは「許可取消しですか、じゃあ会社は破綻するんでゴミの始末は知りません。」となるわけです。当然責任はダイコーにありますが処理する財産がなければどうしようもありません。それで結局税金を投入してしまう事になるのです。これなら取消さずに厳しい指導で業務改善をさせてダイコーの財産において処理をさせれば良かったと言う県民がでてもおかしくないと思います。それが行政の本来の仕事ではないでしょうか。
4000万円かけてゴミを捨てるなんてそれが正しい税金の使い道でしょうか。

しかも愛知県産業廃棄物協会の無償協力がなければ実際にはゴミの処理で約2億1400万円必要なのです。

ここで面白いのが先程から許可の取消しと書いていますが実は愛知県では今でも許可の取消しを行っていません。実際に許可を取消されたのは三重県と、岐阜県です。つまり愛知県としては生かさず殺さず許可をもたせたまま自分達の権限が及ぶように指導したいのだけれども三重県と、岐阜県にとっては関係ない事で三重と岐阜での違反に対して許可を取消したのです。(この時点でダイコーは将来愛知県の許可取消しも確定したので事実上破綻)愛知県から三重と岐阜に「お願い!税金使わなくちゃいけなくなるから許可取消しをしないで」とお願いしたものの三重と岐阜は「うちらの税金じゃ無いんで。法律どおりに取消します。あとは愛知県で宜しくお願いします。」という事です。

その事について愛知県の知事は以下のとおり答弁しています。

「産業廃棄物処理のダイコーについてということでございますが、この1週間の対応でございまして、私どもは引き続き排出事業者による廃棄物の撤去を促しているところでございますが、先週1週間は、4月12、13、14日、火、水、木の3日間で3社が約38トンを回収し、これまでに20社で合計124トンが回収されたということでございます。
 引き続き、排出事業者に対してダイコーが処理困難通知書を出したのは53社でございますので、そうした排出事業者に廃棄物の撤去を促していきたいと思っております。保管されている廃棄物につきましては、県の職員による毎日の巡回監視によりしっかりと把握をしていきたいと思っておりまして、現段階で、愛知県や関係市に悪臭、廃棄物の飛散、流出への苦情などは来ておりません。ということでございます。
 そして、もう1点でございますが、岐阜県、三重県でダイコーの許可を取り消すという報道がありまして、今日の午前中に岐阜県、三重県はダイコーの許可取り消しをするとお聞きをいたしております。その通知を手渡すと聞いております。
 これは、一部報道でもありましたが、産業廃棄物の処理業者に対する許可というのは二つありまして、私ども愛知県は収集運搬業と、あとこの処分業という二つの許可をしておりまして、私どもは処分業の許可に基づいて、ダイコーに対して、この廃棄物の撤去等々について改善命令を出し、そして排出事業者に対して、ダイコーから処理困難通知書が行けば、その排出事業者が廃棄物処理法に基づいて処理責任を負いますので、そこに対して、法律の権限に基づいて、その撤去を促しているということでございます。岐阜県、三重県は、収集運搬業の許可はありますけれども、処分業について許可はないということなので、両県とも倉庫に保管されている廃棄物撤去に係る改善命令を出すことができない。ですから、その撤去については指導でやっているということでありまして、そういうことで、収集運搬業について許可を取り消しても、撤去についてはもともと権限がないので影響がないということでございます。マスコミ等々から、あなた方は何もしないのかと言われてつらいということなので、許可を早く取り消したいということで。
 我々は、撤去が優先だということで、足並みをそろえてもらいたいということは再三申し入れたのでありますけれども、何もしないと言われるのがつらいということで、取り消させてもらうということでありました。
 事情は分からないでもないですけど、実態が伴わないのにそういった形のことをするというのは、役所はよくそういうことがありがちですけれども、釈然としないというか、あまり意味がないなということでありましてね。言ったのですけど、そういうことでございます。
 廃棄物処理法に基づく業の許可で、そういう県単位で許可を出しているのですけど、例えば今回の岐阜県、三重県がそういったもので運搬業でも取り消すと、法律上は欠格事由になるので、我々も取り消さないといけないみたいなことになるのですね。それは、我々としては困ると。
 我々は、あくまでもこの廃棄物を、ここにうずたかく積まれているものを撤去しろということを、今言っておりまして、我々がダイコーに対して産業廃棄物処理業の収集運搬業と処分業の許可を取り消しますと、ダイコーに委託した排出事業者、いわゆる廃棄物を出した方に対してこれを撤去しろという、それを指導する法的根拠を失うことになるということであります。我々としては、廃棄物処理法という法律に基づいて、その法律に基づいた権限で、ダイコー、ダイコーがもう物理的にその力がないので、破綻をしているので、処理困難通知書を出した53社の廃棄物を出した会社に法律に基づいた撤去の義務が生じますから、そこに対して、法律に基づいて撤去してくれということを言っているので、引き続き、我々は、まず撤去を第一に考えて取り組んでいきたいと思っております。
 ですから、このことについては、岐阜県、三重県が取り消すので、私ども愛知県の許可についても、欠格事由には当たりますが、このことについては、この不適正処理廃棄物の撤去を引き続き促すということで、我々愛知県の判断でその取消しを当面見合わせて、その時期を遅らせていくということについて、法的に問題はないということは環境省にも確認をいたしておりますので、引き続き今の状況で、ダイコーといいますか廃棄物処理業者、廃棄物を出したところには撤去を促していきたいと思っております。ということがこのダイコーの関係でございます。」

これつまり愛知県も廃棄物処理法の矛盾点を指摘しているのです。

1、愛知県は取消しをしなければならない
2、でもしたら会社はつぶれる
3、つぶれたらそこのゴミは愛知県が負担しないといけない
4、それなら取消さずに指導で乗り切ろう
5、三重と岐阜が取消しそう
6、そうなると愛知も取消さないといけない
7、三重さん、岐阜さん取消しやめて
8、法律なんていいじゃない。やめて
9、三重、岐阜「知りません。」
10、愛知県「ごみ撤去に4000万円税金で出します。」
11、愛知県「とりあえず許可取消しせずに放置しておこう」

愛知県では今現在許可の取消しを行っていません。

このコラムで何度も書きますが実際に物理的被害者がでる食中毒の事件ではそのお店の営業許可取消しになる事はありません。何十人が病院に送られても営業許可取消しになることはありません。

法律は本当に難しいですね。